TAIPEI EYEは、中国と台湾の伝統演劇・音楽を上演する劇団である。木戸銭がちょっと高いが、金を払って観るに十分値する、ハイレベルなパフォーマンスを見せる。上演30分前から劇場前のフロアに入ることができて、そこでは役者たちがメーキングする場面も見ることができるのだ。
対岸の八里から淡水に戻って、ようやく朝から何もまとまったものを食べていない事実を捨て置けないほどの空腹感を感じた。メインストリートの客家料理店に入った。台湾ビールを一本と、「客家煎豆腐」に「山苦瓜炒鹹蛋」を注文した。しめて、330元(約1150円)。
淡水の景色は、すばらしい。坂の街である。背景にある陽明山塊から降りてくる傾斜が、淡水河に沈むそのあわいにある。川は間もなく東シナ海に注ぐ寸前にあって大河であり、しかも海水が入り込んで海のような深い色をたたえている。街並みは縦横にはりめぐらされた坂道でつながれて、台湾の都市らしく飲食店が豊富で華やかである。しかしさんさんと降り注ぐ陽光と海からの風の下、油っこさは取り除かれて爽やかな印象を観光客に与える。活力と美がどちらもどちらを圧倒しないで、調和を保っている。そんな小都会であった。
芝山岩で色々と調べ物をしたので、どうやら頭の力をほとんど使い切ってしまったようだ。もう故宮博物院をしっかりと見て回るだけの判断力が、頭に残っていない。
こんな状態で行くのは不幸だ、と思ったので、今回の旅行では故宮博物院行きをパスすることにした。また台北に来た機会に、じっくりと見ることにしよう。だがこっそりと意見を言っておくが、あれは大陸中国の宝であって、この島の宝ではない。蒋介石の知恵袋であった国際骨董品商の張静江(1877 – 1950)が、日中戦争時に北京から一番価値のある文物をごっそり持ち出して重慶に運んだものだ。それが国民党の大陸脱出と共に台北に運び込まれて、結果として台北の「故宮」の方にむしろ超一流の宝が入っている。だから、いずれあれは北京に返すのが筋だと、私は思う。